KUNIHITO "YASU-TAROU" YASUI パリコレブランド"Black Ships"デザイナー及びReal Japan 代表 スニーカー及びファッション系バイヤーを歴任し、 学生時代にトータルライフスタイルプロデュースカンパニー Real Japanを設立。 プロダクトの根底にある質を見極める発言やレビューで知られ、 現在ではシステムプロデュース、マーケティングプロデュース、アパレルブランド企画運営など、活躍範囲は多岐にわたる。 Black Ships http://www.blackships.co.jp/ https://twitter.com/yasu_taro |
モデル名 |
Nike Air Max Plus Leather ナイキ エア マックス プラス レザー(Black/White/Varsity Red) 2006年復刻 |
アウトソール |
アウトソールにはグリップ性の高いワッフルパターンを採用。 中足部にTPUを入れ込むことで過度な捻じれを防止。 |
ミッドソール |
ミッドソールには安定したクッション性を発揮するファイロンを全面に使用。 フォアフットには従来のフォアフットエアの3倍以上もの衝撃吸収性を誇るビジブルフォアフットエアを挿入。 リアフットにはクッション性と安定性を両立させたチューンドエアを搭載。 |
アッパー | アッパーには剛性の高い天然皮革とシンセティックのコンビを採用。 |
システム |
Visible Forefoot Air Phylon Tuned Air |
歴史背景 個人的感想 |
オリジナルは1998年10月、フットロッカーグループ「型別注」のモデルとして発売。 当時最先端の技術を導入して開発されたチューンドエアをインラインモデルではなく、型別注モデルに先行して搭載した事。 そして流線型のフォルム、流通量の少なさから、希少価値が高まり、エアマックスとして久々にヒット。 国内スニーカーセレクトショップがこぞって輸入し、それなりの高額な流通だったにも関わらず、完売が続出。 結果、インラインにも加えられ、一時的なブームを生みました。 以後、度々海外でのみ復刻。 特にUKでの人気は未だに凄まじく、footlocker UK系列では継続的に販売。 国内における95のような定着具合といっても過言ではないでしょう。 履いた感覚としては、チューンドエアに内蔵されたサスペンションパーツ(ペバックス半球体)が独特の張りを生み出しているのを感じるかと。 復元力の強いパーツゆえに硬く、クッションの返りが強いため、好みの別れるシステムだと思います。 重量感は軽くもなく、重くもなく、と言った中庸。 スピードシューレースながらもトップホールはアッパーに開いているのでフィト感の悪さを感じる事は無いと思われます。 問題を一つあげるとすれば、サイズ調整が難しい点でしょう。 トウ先にTPU補強が入っている事。 そして、甲が若干低く、トウボックスが狭い事を考えると典型的な日本人の足にとっては優しくない作り。 履き手によっては、ハーフサイズアップをしなければ、きついと思われます。 この使い手を無視したかのようなスペックが、未だに消費者を魅了していることも事実。 扱いづらいスポーツカーのような不思議な魅力のあるモデルと言えますね。 |
モデル名 |
Nike Air Max '97 Classic ナイキ エア マックス ’97 クラッシック(Metallic Silver/Varsity Red-White-Black) 2006年復刻 |
アウトソール | アウトソールにはフレックスグルーブを入れ込んだワッフルパターンを採用。 |
ミッドソール | ミッドソールにはポリウレタン素材を全面に使用し、高いクッション性を発揮するフルレングスマックスエア挿入。 |
アッパー | アッパーには硬めのメッシュとしなやかな人工皮革のコンビを採用。 |
システム |
Full Length Max Air P.U. |
歴史背景 個人的感想 |
オリジナルは1997年Fallより展開。 国内で90年代中盤に起こった、ナイキバブル末期に該当。 前作、前前作が値崩れを起こす中、どのくらいAir Max 95に肉薄できるか?で注目されたシューズでもあります。 エアスペックが従来の前後分割式から一変し、フルレングスで可視化されたことで目新しさが増幅。 銀に赤という往年のナイトトラックを思わせるようなカラーリングも手伝い、それなりのインパクトを残したように思えます。 以後、数年に一回定期的に復刻。 復刻の度に、いつの間にか市場から消えてなくなるなど、根強い人気を誇ります。 シューズとしてまず感じるのは、曲がんないなぁと。 フルレングスマックスエアが搭載されたことで、曲げて歩くと言うよりも、ペタペタと平面で接地するような感覚。 アッパーも甲が低く設計され、タン周りも硬めの為、履き始めは大分違和感があるかと。 デザインの問題もあると思いますが、ソール周りが勝ち過ぎてバランスが良いとはお世辞にも言えません。 また着用を続けていくと、メッシュが綻んできやすいのも特徴。 特に無理やり曲がる部分はその傾向が強いようです。 クッションのコシが強いソールなのでオーバーサイズで履くときついと思います。 アッパーとのバランスを考えるとジャスト目が個人的にはお勧めですね。 パーツの問題上、カラーリングが難しかったり、異素材系でなかなか発売されないモデルでもありますが、近年の技術進歩によりアッパーテクノロジーを進化させたモデルが発売されているので、時代が追いついたように個人的には感じています。 そう言った意味で継続して注目をしていたいモデルの一つです。 |
モデル名 |
Nike Air Max Tailwind ナイキ エア マックス テイルウインド(White/Black/Deep Red) 1996年発売 |
アウトソール |
アウトソールにはワッフルパターンとブロックパターンのコンビを採用。 (センタープレッシャーワッフルソール) |
ミッドソール |
ミッドソールには柔らかなクッション性を提供するポリウレタン素材を全体に使用。 リアフットには抜群のクッション性を誇るマルチチャンバーエアを搭載。 フォアフットには安定したクッション性を誇るフォアフットエアを挿入。 |
アッパー | アッパーにはしなやかなシンセテックと通気性の高いメッシュを採用。 |
システム |
P.U. Forefoot Air Multi Chamber Air |
歴史背景 個人的感想 |
1996年Fall、国内で一番Nikeがもてはやされ、特にAir Maxの百花繚乱とも言うべきシーズンに発売されたのがこのモデル。 Air Max 96'の一段下にあたるレベルの位置づけとしてデビュー。 とは言え、ソールテクノロジー的には2年前のトップレベル機種であったAir Max2(スクエア)を丸々受け継いでいた事もあり、ミドルレベルに収まりきらない存在感を示すモデルとして販売されたことを記憶しております。 実際にそのミドルレベルという位置づけからUSAメガチェーンストアによる別注カラーが非常に多発されたモデルの一つでもあり、ナイキバブルの余勢も駆って国内に大量に輸入。 それでも市場に出れば即完売と言う華々しいセールスを記録しておりました。 実際に国内正規価格が12000円(実際は1万代後半~2万代半ばで推移)だったということもあって、コストパフォーマンスの良いモデルだったと思います。 履いた感覚は非常に軽く、フィット感の良さが際立ちます。 見た目からソール周りに注目したくなるんですが、アッパーのラストが日本人に向いているのか、ゆったり目で非常に軽快。 スピードシューレースを使用しているので、ホールド感が甘いんじゃないか?という気が一瞬はするのですが、それも無く、不快感がありません。 クッション性に関しては、柔らかすぎでもなく、硬すぎでもなく、という感じだと思います。 贅沢を言うのであれば、フォアだけズームエアに変えたいかも、と思う程度ですね。 Max Tailwindシリーズは以後も定期的に姿かたちを変え継続されていきますが、個人的にはこの形を超える物が出ていないような気がしております。 マニア層にも受けが良いでしょうし、スポットで復活させてほしいモデルの一つです。 |
モデル名 |
Nike Air Terra Outback ナイキ エア テラ アウトバック(Black/Sandalwood/White) 1996年発売 |
アウトソール | アウトソールにはアウトドアをイメージしたブロックパターンを採用。 |
ミッドソール |
ミッドソールには柔らかなクッション性を提供するファイロンを全体に使用。 リアフットには安定したクッション性のヒールエアを搭載。 リアフットには弾力性のあるクッション性を誇るズームフォアフットエアを挿入。 |
アッパー | アッパーには通気性の高いメッシュとしなやかなシンセテック素材を採用。 |
システム |
Phylon Forefoot Zoom Air Heel Encap Air |
歴史背景 個人的感想 |
1996年Springカタログにてデビュー。 名品テラの系譜を引くモデルとして、当時10000円と言う定価ながらも大きな期待感を持ってデビュー。 時はナイキバブルだったということと、USAのメガチェーンがこぞって別注カラーを生産したことによって国内に相当数の数が入ってきたことも引き金となり、トレイルランニングと言うモノを認識させた存在意義は大きかったように思えます。 実勢価格としては1万台後半から2万代中盤で取引されたことを考えると、ナイキバブルという背景を差し引いても、低価格帯モデルにしてはデザインが秀逸だった証拠。 また、切り返しのパーツが多いため、ACGらしいアースカラーから派手なカラーリングまでこなせた振り幅の大きさも人気の秘訣だったのではないでしょうか。 ちなみにこのカラーリングはFinish Line 別注として国内に入ってきたものを捕獲。 ありそうでない、絶妙なカラーリングが気に入っております。 履き心地で言うと、トレイルランニングだけありアウトソールが硬いため、柔らかくは無い感じ。 ですが、クッション性が無いと言った印象も無く、1日履いていても痛くなりませんし、非常に不思議な感じのモデルです。 通気性も良いですし、トータルで考えると何だか使えるモデル、という雰囲気。 ランニングにしてはそこそこボリューム感があるので、その辺りも良い塩梅なのかもしれません。 エアフマラ等々に引き継がれていった系譜を考えるならば、もう少し評価が高くてもいいのではないかな?と思う隠れた名品です。 復刻希望です。 |
モデル名 |
Nike Air Footscape ナイキ エア フットスケープ(Wild Grape/White) 2005年復刻 |
アウトソール | アウトソールにはワッフルソールパターンを採用。 |
ミッドソール |
ミッドソールには安定したクッション性を提供するファイロンを全体に使用。 ヒールにはヒールエア、フォアにはフォアフットエアを搭載。 |
アッパー |
アッパーにはしなやかなデュラバック(高耐久性人工皮革)とメッシュ素材のコンビを採用。 踵のTPUサポートパーツが足ブレを制御してくれます。 |
システム |
Phylon Encap Heel Air Forefoot Air |
歴史背景 個人的感想 |
オリジナルは1996年 SPRINGにデビュー。 フットスケープ・ラストという幅広のコンフォートさを最優先した独自のラストとサイドアッパーにシューレースを採用する独自の規格を引っ提げてデビュー。 Air Max 95'同様、初動はそこまでなかったものの、ナイキバブルの波が始まるにつけ一気にプレミア化。 かの有名な藤原ヒロシ氏が雑誌等々で猛プッシュしたことも人気に拍車をかける原因となりました。 実際にランニングカテゴリーではAir Maxシリーズに次ぐ人気機種の一つとして認知され、海外からレディースカラーのメンズ対応サイズが大量流入。 需要に対して供給量が追いつかない時期が長く続き、一時は5万円オーバーの価格帯で取引されておりました。 国内ではメンズ・レディース問わず人気機種になったものの、海外では当時この幅広のフォルムはそこまで受け入れられなかったようで、海外で評価が高まったのは2001年の「上野シティアタック」以後と言われています。 そういった関係もあり当時はインラインカラー以外は展開されておらず、海外別注も無かったため人気の割には短命で終わったモデルです。 後継モデルとして発売された「ステイシス」もフットスケープほどパッとしたセールスは記録できず、この手の流れはナイキバブルでいったん終了します。 近年では再評価されていることに加え、ハイブリットモデルのベースとしてセレクトされることが多く、ウーブン系、マックス系モデル等々に違った側面からアプローチをする際に用いられています。 そういった意味で、扱いやすいモデルなのかもしれませんね。 個人的な観点から述べると、シューズとしてはあまり好みじゃありません。 幅が広すぎることと、そこそこ厚めにとられたソールに対してアッパーが華奢過ぎてサポート性が皆無なため、ソールの返りが足についてきてるような気がしない点が理由です。 (レザーモデルを未着用のため、レザーモデルだと評価が変わる可能性あり) とは言え、一時代を築いたモデルであることは疑いの無い事実であり、ランニングでありながらもコンフォートさを備えたモデルの走りとして、体感されることをお勧めしたいモデルの一つです。 |
モデル名 |
Nike Cortez ナイキ コルテッツ(Royal Blue/Medium Yellow) 1996年復刻 |
アウトソール | シンプルかつ間隔の広いヘリンボーンパターンを採用。 |
ミッドソール | ミッドソールにはE.V.A.を採用。 |
アッパー | アッパーには天然皮革とナイロンメッシュのコンビを採用。 |
システム | E.V.A. |
歴史背景 個人的感想 |
オリジナルは1972年に発売。 1960年代、USAにてオニツカタイガーを輸入代理店と言う形で販売していたのが、Nikeの前身であるBRS(ブルーリボンスポーツ)。 創業者であるビル・バウワーマンが当時のオニツカタイガーにアドバイスをして作られたと言われるのが、966年から展開されたオニツカタイガーのコルセアというモデル。 当時レザーかキャンバスで作ることが常識とされていたアッパーを軽量のナイロンに置き換えると言う大胆な試みを提案。 雨で水がしみるといった問題が多々ありつつも、瞬く間にランニングシューズではナイロンアッパーが主流になり、大成功を収めます。 クッション性においても、つま先から踵までミッドソールを展開し、踵のみ一枚厚い3層式を採用。 当時としては革新的なクッション性が舗装路で走ることの多かったアメリカランナーの支持を得るに至ったと言われています。 オニツカタイガーとの販売権のこじれから、1971年BRSからNikeへとメーカー業に転身。 訴訟問題を経て、1972年にNikeとしてのコルテッツが発売されます。 以後、マイナーチェンジや生産国の変更を繰り返しながら、現代にいたるまで生産され続けている超ロングセラーモデル。 このカラーリングは、1970年代中盤にかけてUCLAカラーとして発売。 ヴィンテージ市場で絶大な人気を誇ったカラーリングです。 それをNikeバブル真っただ中の1996年に日本企画として復刻。 マニア向けではありましたが、ヴィンテージ市場での高騰ぶりもあってセールス的にかなり成功をいたしました。 個人的にはコルテッツを何足か持っていますが、一番履いたカラーリングです。 もちろん基本設計が古いので、そう何時間も履けるような代物ではありません。 ですが、今から反芻すると、あの狂乱の時代だったからこそ生まれた、空気感を完璧にパッキング化したようなシューズだと思います。 当時のNikeの販売戦略は最低そのもので、結果数年後独占禁止法で訴えられるわけですが、ある意味そういった戦略があったからこその遺産的なモデルと言っても過言ではないでしょう。 |