KUNIHITO "YASU-TAROU" YASUI パリコレブランド"Black Ships"デザイナー及びReal Japan 代表 スニーカー及びファッション系バイヤーを歴任し、 学生時代にトータルライフスタイルプロデュースカンパニー Real Japanを設立。 プロダクトの根底にある質を見極める発言やレビューで知られ、 現在ではシステムプロデュース、マーケティングプロデュース、アパレルブランド企画運営など、活躍範囲は多岐にわたる。 Black Ships http://www.blackships.co.jp/ https://twitter.com/yasu_taro |
モデル名 |
Adidas 1.1 B アディダス 1.1 バスケットボール(Black/R.White/Metallic Silver) 2006年発売 |
アウトソール | アウトソールにはノンマーキングラバーを同心円パターンとドレッドパターンのミックスにてアレンジ。 |
ミッドソール |
ミッドソールには安定したクッション性を誇るC.M.E.V.A.と自動的にミッドソールの硬度を変換するIntelligence Systemを搭載。 中足部から踵にかけて過度な捻じれを防止するTorsion Systemを挿入。 |
アッパー |
アッパーには足なじみが良く、しなやかなシンセティック素材を使用。 通気性を考慮されたメッシュタンとメッシュインナーがプレー中の快適さを約束してくれます。 |
システム |
Intelligence System C.M.E.V.A. |
歴史背景 個人的感想 |
Adidasが2005年から発表をしていた、自動的にクッション性をコントロールするIntelligence System。 ピンの抜き差しやガスの入れ替えなど、遥か昔からAdidasが取り組んできた「使用者に最適なクッション性」という命題をとうとう実現させた夢の機能性。 Intelligence Systemとは、搭載された磁器がフロアの硬さ、使い手の体重等を感知し、人工知能部分に通達。 人工知能のモーターがワイヤーを回し、その人に合った適切なクッション性に、ヒール部分の硬度を随時変更していくというのが大まかな概要です。 初代搭載モデルはランニングシューズ。 それをもう一歩推し進めて開発し、バスケットボールシューズに搭載したのがこのモデル。 NBA2005-06シーズン中盤からNBA2006-07シーズン初旬にかけて、Adidasの中でも一部のトップ契約選手にのみ支給。 S・スパーズ所属のトッププレイヤー、ティム・ダンカンを筆頭にケビン・ガーネット、チャウンシー・ビラップス等もスポットにて着用。 トップ契約選手からのコメントを紐解いてみても、非常に好意的かつ戦闘力の高さを伺えておりました。 シューズとしては、若干アッパーが華奢な感覚。 Intelligence Systemは機能性と裏腹に重量があるため、ソール周りが重くなる欠点があります。 それゆえ、全体のバランスを考え、これ以上の剛性が高い重厚なアッパーを使用出来なかったのではないかと思われます。 反面ソール周りに重心がしっかりあるということの裏返しでもあるため、振り子の原理で走りやすく、そこまで大きな違和感を感じずに済むという風に捕らえることも可能。 その辺は履き手の意識の問題かと思われます。 Intelligence Systemは使用開始からある程度までは何度か勝手にチューニングしてくれますんで、その度に微妙な違いを感じることが出来、非常に面白いです。 マニュアルでも調節可能なため、本当に好みのクッション性に設定できます。 もう一点問題をあげるとすれば、フォアフットのクッション性を変えれないということ。 ランニングでもバスケットボールでも前傾姿勢になることが多いわけですから、フォアフットのクッション性までも調節できれば完璧なシステムだったと思います。 国内定価35000+Taxという金額をどう捉えるかによると思いますが、この当時一時的にもシューズとしての未来形が見えただけでも面白かったのではないかと。 しかしながら販売不振でアウトレットに山積みされたように、このシステムの先の未来を継続してAdidasが描けるような市場が無かったことが残念でなりません。 願わくば、このシステムの完成系を見たかったな、と思う未完成なモデルですね。 |
モデル名 |
Adidas Pro Model 2G SY アディダス プロモデル 2G SY(Black/R.White) 2001年発売 |
アウトソール |
アウトソールにはグリップ性の良い、ヘリンボーンパターンを採用。 中足部をくり抜くことで軽量化を施しています。 |
ミッドソール |
ミッドソールには安定したクッション性を誇るC.M.E.V.A.を搭載。 中足部全体にトルションシステムを埋め込むことで、安定性の確保と足の過度なねじれを防止。 |
アッパー |
アッパーにはしなやかなシンセティックパテントを使用。 シェルトウがつま先の保護をし、デザインのアクセントとなっております。 |
システム |
C.M.E.V.A. Torsion System |
歴史背景 個人的感想 |
オリジナルはNBA2000-01シーズンに発売。 ジョー・デューマスがキャリア晩年に履いたSS2Gが若手スターを中心にブレイクしたことで、過去の名作をアップデートする流れに発展。 名作プロモデルをベースに基礎設計を作り直したのがこのモデル。 NBAプレイヤーのみならず、カレッジモデルとして多くのプレイヤーが着用。 高校生時代のレブロン・ジェームズが着用していたことからも、当時の大きな流れを窺い知ることが出来ます。 国内ではそういったUSAからの流れを汲みつつ、当時のシューズセレクトショップ及びバスケットボールプロショップが大量に国内に輸入し提案。 派手目のチームカラーが多色展開されたため、着用する人を選んだものの、レトロなフォルムが受け入れられ、それなりの売り上げにつながっていたように記憶しております。 このモデルのヒットから、アッパーのデザインはほぼそのままにソールテクノロジーを変化させたアップデートモデルは現在に至るまで継続。 そのタイミングの最新ソールテクノロジーをかみ砕いたような位置づけがマニア心をくすぐるシリーズになっております。 シューズとしては見た目以上に軽さを感じてもらえると思います。 クッション材もC.M.E.V.A.のみにしては柔らかく感じる出来栄え。 思った以上に使えます。 欠点としては蒸れまくる通気性。 通気ホールが全然ないので、これは致し方ないかと。 そして、足首周りのホールド感がカットが高そうに見える割に、意外と高くない点。 これはアキレス腱部分の可動領域を広げるために、ヒール周りが伸縮ゴムになっている点が影響しているかと思われます。 この辺りは好き嫌いの部分の問題でしょうね。 履き味が軽快ですし、コストパフォーマンスとしてはエントリー系モデルとして高いと思います。 海外では前述したとおりシリーズとして継続されているものの、国内ではこのモデル以後正規展開を行っていないので、是非とも定価1万円以内くらいでアディダスジャパンが引っ張ってくれると良いな、と思うモデルの一つ。 または復刻希望ですね。 |
モデル名 |
Adidas A3 SS Ultra アディダス エーキューブ スーパースター ウルトラ(R.White/Silver Metallic/Black) 2003年発売 |
アウトソール |
安定したグリップ性を誇るヘリンボーンパターンを採用。 土踏まず部分をくりぬくことで軽量化を促進。 |
ミッドソール |
全体に安定したクッション性を誇るC.M.E.V.A.を使用。 ミッドソール全体に安定性・クッション性・推進力を兼ね備えたフルレングスA3ユニットを搭載。 フォアフットにはadiPRENE+を追加挿入。 中足部にTORSIONを挿し込むことで過度な捻じれに対応。 |
アッパー |
アッパーにはしなやかなシンセテック素材を使用。 内側だけPVCを張ることで剛性を高め、無数の通気口をあけることで通気性を確保しております。 また、ライナーにはベロア素材を採用することで、靴内部での足ブレを防ぎ、脱げにくくしております。 |
システム |
C.M.E.V.A. Full Length A3 System TORSION adiPRENE+ |
歴史背景 個人的感想 |
NBA2003-04シーズン、インサイド系アディダス主力選手が着用をしたモデルです。 当時、最新テクノロジーであったA3 Systemとバスケットボールシューズの代名詞的なSSの冠が付いただけあって、アディダスの力の入れようもかなりのものでした。 実際にカラバリも豊富で、国内販売でも非常に派手なカラーリングまで展開。 このまま一気呵成にシェアを奪うのか?と思っていた矢先、USAにてA3の不具合が起き回収対象となります。 以後、このタイプのA3からA3 Bounceにテクノロジーが変わっていったことを考えると、不運なモデルという印象が強いのではないでしょうか。 実際に履き心地としては、アディプリーンの要素もあるとは思うのですが、硬くも無く、柔らかくも無い、絶妙な感覚。 安定感が高いモデルのように見えるのですが、そういった感じでもなく、足裏に吸いつくような感覚、というのが正しい言葉のように思えます。 アッパーもフルワープドでストレスも少ないですし、通気性以外は良くできていると思います。 たまたまなのですが、個体差でタンの縫い付けが悪かったため、片足だけ痛くなる、という弊害がありましたが、それ以外は概ね満足ですね。 現在はFormotionテクノロジーがあるので、これを進化させる必要はないと思いますが、この不思議な感覚をブラッシュアップして欲しかったな、と思う隠れモデルの一つです。 |
モデル名 |
Adidas SS2G Patent FL アディダス SS2G パテント フットロッカー(White/Black) 2001年発売 |
アウトソール |
アウトソールにはグリップ性の良い、ヘリンボーンパターンを採用。 中足部をくり抜くことで軽量化を施しています。 |
ミッドソール |
ミッドソールには安定したクッション性を誇るC.M.E.V.A.と沈み込むような高いクッション性を誇るadiPRENEをヒールに搭載。 中足部全体にトルションシステムを埋め込むことで、安定性の確保と足の過度なねじれを防止。 |
アッパー |
アッパーには剛性の高い天然皮革と足なじみの良いシンセティックレザーのコンビを使用。 シェルトウがつま先の保護をし、デザインのアクセントとなっております。 |
システム |
C.M.E.V.A. adiPRENE |
歴史背景 個人的感想 |
1999年、当時デトロイト・ピストンズの中で1989・90年の連続優勝を知るメンバーであり、ファイナルMVPにも選ばれ、バッドボーイズと呼ばれた中で唯一の良心とまで言われ、多大なる尊敬を集めていたプレイヤーがジョー・デューマス。 現在はデトロイト・ピストンズのGMでもあるジョー・デューマスがキャリア晩年に履いたモデルがこのSS2G。 その姿を見て、当時若手としてNBAをにぎわせていたK・ブライアントやT・マグレディーが「なんだそのシューズは?」と過敏に反応。 若手スター選手がこぞって履き出す事で、一躍有名になり、USAで大きなムーブメントに発展。 ファッションアイテムとして捉えられていることが多いこのモデルですが、USAでは偉大なるLowカットシューズとして認知。 NBA2005-06シーズン、当時ワシントン・ウィザースのスターPGだったギルバート・アリナスがほぼシーズンを通して使用したことからもそのレベルの高さが伺えます。 国内ではそういったUSAからの流れを汲みつつ、当時のシューズセレクトショップが大量に国内に輸入し提案。 ハイテクながらもスーパースターからすんなり履き変えれる違和感の無さも手伝い、一気に国内でブレイク。 これを契機にアップデート系スニーカーブームが起こります。 こちらのカラーリングは元々フットロッカーの別注カラーだったのですが、後発ながらも何故か国内正規ルートで販売された不思議なカラーです。 シューズとしては前述したとおり、スーパースターから違和感なく履き変えれるハイテクということで非常に良いと思います。 履き心地、重量等々を含めても軽快ですし、コストパフォーマンスが高いモデルと言えますね。 カラーリングや素材含めて短期間に出尽くした感がありますが、ベースがスーパースターだけにデザインが色褪せにくいと思うので定期的にリバイバルをして欲しいモデルの一つです。 |